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口頭

重水素が固溶したV(001)面からのD$$_{2}$$分子の熱脱離に及ぼす表面酸化膜の影響

寺岡 有殿; 戸出 真由美; Harries, J.; 吉越 章隆

no journal, , 

V(001)清浄表面をO$$_{2}$$ガスに暴露、又は、超音速O$$_{2}$$分子線を照射して酸化膜を形成し、D$$_{2}$$$$^{+}$$イオンを注入し、酸化膜の熱変性を放射光光電子分光で、D$$_{2}$$分子の脱離を質量分析器を用いて同時観測した。実験はすべてSPring-8 BL23SUの表面化学実験ステーション(SUREAC2000)にて行った。D原子密度は4$$times$$10$$^{13}$$原子/cm$$^{3}$$程度である。V原子密度は7.2$$times$$10$$^{22}$$原子/cm$$^{3}$$であるので、D原子は固溶状態にあると考えられる。試料を裏面から傍熱加熱して373Kに保ち、1073Kまで35度/minのレートで昇温しながら、表面のO1s光電子スペクトルを50度ごとに測定し、同時に差動排気した質量分析器を用いて脱離するD$$_{2}$$分子の収率をモニタした。酸化膜厚・膜質を変えることで、D$$_{2}$$分子の脱離温度を制御できることがわかった。

口頭

2-4keV用ワイドバンド多層膜回折格子分光器

今園 孝志; 小池 雅人; 河内 哲哉; 長谷川 登; 小枝 勝*; 長野 哲也*; 笹井 浩行*; 大上 裕紀*; 米澤 善央*; 倉本 智史*; et al.

no journal, , 

表面が金膜である従来の回折格子を搭載した回折格子分光器では計測できない2-4keV領域に対応するワイドバンド多層膜回折格子分光器の開発を進めている。これを実現するために、当該領域の反射率を一定入射角でも反射率をワイドバンド化できる新しい膜構造の多層膜(WとB$$_4$$Cから構成、周期長5.6nm,膜総数40)を考案し、それをホログラフィック露光法により作製されたラミナ型回折格子上に積層させた多層膜回折格子を作製した。高エネルギー加速器研究機構Photon FactoryのBL-11Bにて行った多層膜回折格子の回折効率の評価実験の結果、入射角88.65$$^circ$$,入射エネルギー2.1-4.0keVにおける多層膜回折格子の回折効率は、従来の回折格子に比して2keV近傍で数倍、3keVで一千倍の回折効率を示すことがわかった。

口頭

金属単結晶の表面X線回折; 水素吸収のチャンネル形成の推測

高橋 正光; 藤川 誠司*; Hu, W.; 田尻 寛男*

no journal, , 

水素化は、材料最表面への水素分子の解離吸着によって始まり、表面第2層目以下の原子への水素吸蔵へと進行していく。この過程で水素化を容易にしている要因、逆に阻害している要因を明らかにすることは、水素貯蔵材料の性能向上に役立つ。パラジウムは、古くから研究されている水素吸蔵材料であるとともに、結晶性の高い単結晶が得られ、清浄表面を得ることも容易である。本研究では、表面X線回折法による定量的な表面構造解析に基づいて、パラジウム単結晶における水素吸収メカニズムを検討する。実験は、SPring-8の表面界面ビームラインBL13XUで行った。水素への暴露と加熱処理を繰り返す「熱サイクル過程」により、Pd(110)表面は、水素の表面被覆率1原子層に対応する(2$$times$$1)構造と、被覆率1.5原子層に対応する(1$$times$$2)構造との間を行き来することが低速電子線回折により確認された。この「熱サイクル過程」を繰り返したときの表面X線回折プロファイルの変化を測定したところ、水素吸蔵量の増加が観測され、水素吸着から水素吸蔵へと進行する過程をとらえることができた。

口頭

DNA薄膜のNEXAFSスペクトル

藤井 健太郎; 小林 英一*; 菅谷 雄基*; 岡 壽崇; 福田 義博; 横谷 明徳; 岡島 敏浩*

no journal, , 

プラスミドDNA(超らせん構造)及び仔牛胸腺DNA(直鎖状構造)という形態の異なる2種類のDNAに対して、薄膜の吸収スペクトルの測定を行い、それぞれの比較から、DNAの形態の違いによるスペクトルの変化について検討した。実験はSPring-8原子力機構専用軟X線ビームラインBL23SU及びSAGA-LS県有ビームラインBL12において行った。BL23SUでは窒素K殻, 酸素K殻領域のNEXAFSスペクトル測定、BL12ではリンL殻, 炭素K殻, 窒素K殻及び酸素K殻領域のNEXAFSスペクトルの測定を行った。その結果、DNAの超らせん構造と直鎖状構造という形態の違いによってスペクトルの微細構造が顕著に変化することが明らかになった。また、薄膜の加熱により$$pi$$$$^{*}$$$$sigma$$$$^{*}$$のピーク強度比の変化が観測され、加熱後のDNA薄膜では、塩基分子が加熱前に比べて、より表面に対して折り畳まれている形態をとることが明らかになった。

口頭

軟X線により変異したATPの生物効果

藤井 健太郎; 藤井 紳一郎*; 加藤 大*; 秋光 信佳*; 月本 光俊*; 横谷 明徳; 丹羽 修*; 小島 周二*

no journal, , 

SPring-8原子力機構専用軟X線ビームラインBL23SUにおける軟X線の照射により、ATPに分子変異を誘発させ、その分子変化に起因した多様な生物効果(生体エネルギー供与,遺伝情報伝達,細胞間情報伝達)を解析した。さらに、照射による分子構造変異を軟X線吸収分光法,エレクトロスプレー質量分析法(ESIMS)や電気化学分析法により解析した。その結果、真空中で軟X線を照射したATPでは、ATP受容体活性化によるextracellular signal-regulated kinase 1/2 (ERK1/2)のリン酸化活性能、及びルシフェラーゼが両者とも低下することが明らかになった。各分析法によって得られた分子構造変化の結果から、塩基やリン酸基部分の脱離が照射試料から観測されており、これらのATPの分子構造変異に起因した効果であると推測される。

口頭

低エネルギー電子励起観測に向けた共鳴非弾性X線散乱分光器の高度化

石井 賢司; Jarrige, I.; 吉田 雅洋; 水木 純一郎; 豊川 秀訓*; Casa, D.*; 高木 英典*

no journal, , 

SPring-8などの第三世代放射光光源の発展に伴い、硬X線を用いた共鳴非弾性X線散乱法によってフェルミエネルギー近傍の電子励起を観測することが可能となってきた。この手法は、励起の運動量依存性が観測できるという従来の光学測定にはない特長を有しており、電荷励起に加えて、最近ではスピンや軌道の励起も観測されていることから、強相関電子系などの研究において今後の発展が期待できる。しかしながら、物性とより密接に関係した低エネルギーにある電子励起を観測するには現時点でのエネルギー分解能では不十分であり、改善の努力が続けられている。その際、散乱強度がエネルギー分解能の向上に比例して低下することになるので、実験効率を極力落とさないようにすることも不可欠である。本発表では、SPring-8のBL11XUに設置した共鳴非弾性X線散乱分光器で行った低エネルギー電子励起観測に向けての高度化についての報告を行う。

口頭

極紫外自由電子レーザー誘起による超蛍光の観測

永園 充*; Harries, J.; 岩山 洋士*; 登野 健介*; 富樫 格*; 仙波 泰徳*; 大橋 治彦*; 矢橋 牧名*; 石川 哲也*; 繁政 英治*

no journal, , 

実験はSCSS試験加速器施設で行われた。He原子を試料とし、SCSSからの極紫外自由電子レーザー(EUV-FEL)の波長を1s$$^2$$$$rightarrow$$1s3p共鳴励起相当に合わせ、高濃度のHe原子に照射し、その1s3p$$rightarrow$$1s2s脱励起過程に伴う蛍光(波長=501nm)の時間発展をガス濃度の関数としてストリークカメラにより計測した。He原子濃度が高くなるに従い、遅延時間が短くなり、パルス幅も狭くなっている様子が明確に見いだせた。観測結果の詳細な解析により、EUV-FEL光により励起されたHe原子が、原子集団として蛍光を放出する、超蛍光現象が起きていることが確認された。なお、半導体検出器による強度測定から、入射EUV-FEL光強度に対する超蛍光の変換効率は約10%と見積もられた。超蛍光の観測は、FELの利用研究としては現時点までで唯一のものである。EUV励起による超蛍光は、今回のような可視発光のみならず、1s3p$$rightarrow$$1s2脱励起によるEUV発光においても同様の振る舞いが観測されている。超蛍光は、特殊な環境下で起こる集団的発光現象であり、条件さえ整えば、XFEL励起によるX線超蛍光の観測も可能であると考えられる。SACLAの利用により、研究が大きく進展することが期待される。

口頭

軟X線光電子顕微鏡による有機薄膜の観察

馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 本田 充紀*; 平尾 法恵; 成田 あゆみ

no journal, , 

有機分子,ポリマー,生体分子などの薄膜の物性は、個々の分子の構造によって決まるが、それと同時に、薄膜全体としての電気的,光学的特性は、ナノメートルオーダーのメゾスコピック領域の電子構造,分子配向にも依存する。これらの情報をリアルタイムで観察するために、放射光軟X線ビームラインに有機薄膜観察用の光電子顕微鏡(PEEM)を設置した。本講演では装置の概要と、有機薄膜及び有機ポリマーのリアルタイム観察に応用した結果について報告する。金属表面に蒸着した平面状フタロシアニン分子の薄膜では、室温において分子面が表面に平行に整列する。これを加熱していくと、240度付近で、横方向に拡散したナノメートル領域の分子配向が垂直に変化した。一方、一次元状のシリコンポリマーの薄膜では、室温において分子軸が表面に垂直に整列する。これを240度まで加熱しても表面拡散は起こらないが分子配向は垂直から水平へと劇的に変化する。これらナノメートル領域における分子配向の違いは、分子-分子間の相互作用と基板-分子間の相互作用の大きさによって決まると結論した。

口頭

ナノ金属粒子の時分割XAFS; 水素化反応の律速要因の解析

松村 大樹; 岡島 由佳*; 西畑 保雄; 水木 純一郎

no journal, , 

金属粒子の微細化には、単なる比表面積の増大だけでなく、ナノスケール物質独自の性質発現が期待される。Pdは常温常圧での発熱的水素吸収とわずかな昇温に伴う水素放出特性を併せ持ち、水素貯蔵材料としての性質を持つ唯一の単体金属であるが、微細化することによりその吸収特性は大きく変化する。本研究ではPd金属微粒子を対象とし、分散型XAFS法を使用して、「その場」かつ「実時間分割」で、水素吸収反応中の金属微粒子自身の挙動を直接観測した。結果、最大水素分圧である200kPaにおいては、50ms程度といった短い時間で原子間距離の膨張が生じており、Pdは速やかに高濃度相に変化することがわかった。また、飽和原子間距離と反応速度の2つが、それぞれ水素分圧依存性を持っていた。速度論的解析は、この反応が一次反応であること、すなわち水素分子の状態で律速反応に寄与することを示した。これは、原子状態の内部拡散が律速反応になるバルクとは異なり、微粒子においては表面解離吸着反応が律速過程にあることを表している。

口頭

超音速分子線を用いたSi初期酸化促進反応における面方位依存性の解析

大野 真也*; 井上 慧*; 百瀬 辰哉*; 兼村 瑠威*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 尾形 祥一*; 安田 哲二*; 田中 正俊*

no journal, , 

Siナノワイヤトランジスタ等の3次元構造を持つMOSFET構造においてはさまざまな面方位のSiO$$_{2}$$/Si界面が存在する。そのひとつであるSi(113)面においても、単原子層における酸化過程は二層目以降の酸化過程に影響を及ぼす。そこで、極薄酸化層の構造や組成を精密に制御するため、単原子層レベルでの酸化反応機構を研究した。実験はSPring-8の原子力機構専用ビームラインBL23SUの表面化学実験ステーションにおいて実施した。超音速酸素分子線の並進運動エネルギーを0.8eVから2.3eVの間で変化させることにより、Si(113)面に対する酸化促進効果に着目した。並進運動エネルギーが大きいほどSi(001)の場合と比べてSi$$^{2+}$$強度が顕著に減少し、逆にSi$$^{4+}$$強度が増加する傾向が観察され、酸化膜の化学組成はSiO$$_{2}$$により近づくことが明らかになった。

口頭

ERL主加速部クライオモジュールの開発

阪井 寛志*; 梅森 健成*; 佐藤 昌史*; 沢村 勝; 篠江 憲治*; 古屋 貴章*; Cenni, E.*

no journal, , 

われわれは、1.3GHz超伝導空洞からなるERL主加速部のクライオモジュール製作に向けてR&Dを進めている。超伝導空洞については、これまで2台の試作9セル空洞を製作し、最終的には25MV/m近くの加速勾配を実現することができ、要求値である15MV/mにてQ0が1$$times$$10$$^{10}$$を超える値が測定され、cERLに向けたモジュール組込への目途がついた。現在cERL組み込み用の実機の製作を終え、縦測定を行っている所である。入力カップラーについては、試作1号機にて断熱槽を用いて液体窒素冷却中でのパワーテストを行った。8時間のパルスプロセス後、25kWまで到達。また、20kWの定在波を16時間keep可能であり、最終的にERL主加速部で必要なRFパワーを無事通すことができた。HOM減衰器は、試作器(フェライトあり)を製作した。空洞に取り付け、HOMの減衰が十分であることを確認した。チューナーは、Slide-Jack式チューナー及びピエゾチューナーを採用。試作器を用いて、粗動で1um以下の制御が可能であることがわかった。

口頭

ERL主加速部超伝導空洞の開発

梅森 健成*; 阪井 寛志*; 佐藤 昌史*; 沢村 勝; 篠江 憲治*; 古屋 貴章*; Cenni, E.*

no journal, , 

ERL主加速部における1.3GHz, 9セル超伝導空洞の開発に取り組んでいる。現在は、Compact ERL(cERL)計画に向けて空洞2台入りクライオモジュールの開発・製作を行っている。空洞は各セル間に強め輪を持ち、空洞両端にはHeジャケット取り付け用のチタン端板も溶接される。フランジ面はニオブチタンでできており、ヘリコフレックスを用いて真空シールを行う。空洞は、1回目の電解研磨,アニール,プリチューニング、2回目の仕上げ電解研磨,超純水高圧洗浄などの表面処理が行われ、空洞アセンブリ,ベーキングを行った後に縦測定にて性能確認が行われる。CWで運転されるERL用の空洞には、15$$sim$$20MV/mの加速電圧が求められるとともに、適切な冷凍機負荷になり、また不必要な暗電流を軽減するよう、フィールドエミッションを極力避ける必要がある。運転電圧において1$$times$$10$$^{10}$$以上のQ値が得られるよう、一連の表面処理や空洞アセンブリの工程を注意深く作業が行われている。性能確認後空洞は、Heジャケットが溶接された後に、高次モードダンパーや入力カップラー,チューナー等が取り付けられて、クライオモジュールにインストールされる。

口頭

ERL主ライナック、試作カプラー1号機のハイパワー試験

篠江 憲治*; 阪井 寛志*; 梅森 健成*; Cenni, E.*; 沢村 勝; 中村 典雄*; 古屋 貴章*

no journal, , 

1.3GHzCW型超伝導空洞用入力カプラーの開発を行っている。これまで、カプラーの主要構成要素であるセラミック窓について、試作を行い、ハイパワー試験を行ってきた。セラミック窓については、初期モデルで問題となった発熱に対して改良モデルでこの問題を解決し、目標としていた入力パワー20kW以上のパワー投入が達成できた。今回、このセラミック窓を用いてカプラーの試作を行い、ハイパワー試験を行った。ハイパワー試験には、これまで原子力機構にある30kW IOT電源を使用してきたが、昨年度にKEK、ERL開発棟に電源が移設されたので、今回のハイパワー試験からはKEKで行うことができるようになった。試験はカプラーを真空断熱槽に組み込み、液体窒素による冷却を行って、実際の使用状況に近い条件で試験を行った。試験結果は良好で、試作1号機の性能はCW用超伝導空洞のカプラーとして、十分に要求される性能を満たしていることが確認された。

口頭

Pドープグラファイトの触媒活性とNEXAFSによるキャラクタリゼーション

下山 巖; 箱田 照幸; 関口 哲弘; 馬場 祐治

no journal, , 

近年炭素材料へのヘテロ原子ドーピングにより酸素還元反応に関する触媒活性が発現することが報告され新しい触媒材料として注目を集めている。しかしB, N以外のヘテロ原子についてはあまり研究が行われていない。われわれはN同様IV族元素であるPを用い、Pドーパントの局所構造と触媒活性との相関関係を調べた。PCl $$_{3}$$あるいはPBr$$_{3}$$のフラグメントイオンを3keVで加速して室温あるいは高温の高配向グラファイトにドーピングを行った。高温でドーピングを行った試料のPのK吸収端におけるNEXAFSスペクトルはグラファイト的な偏光依存性を示し、Pサイトがグラファイトにとりこまれた形でsp$$^{2}$$立体配置をとることを示した。一方室温ドーピング後アニールを行った試料では偏光依存性が小さくなる傾向を示した。これらの試料を電気化学実験により触媒活性を調べたところ、高温ドーピングの試料よりも室温ドーピングを行った試料の方が高い活性を示した。われわれはNEXAFSスペクトルを密度汎関数理論計算により解析を行い、平面的な立体配置を持つPサイトよりも曲面的な立体配置を持つPサイトの方が触媒活性に大きく寄与するという仮説について提案する。

口頭

Study on selective adsorption of deuterium on boron nitride using photon-stimulated ion-desorption

Koswattage, K.; 下山 巖; 関口 哲弘; 馬場 祐治

no journal, , 

窒化ホウ素(BN)は炭素同様ナノチューブ構造をとるため水素吸蔵材として注目を集めているが、水素とBNナノ材料との相互作用に関しては理論研究が先行しており実験的な検証が不足している。先行研究における基礎的な論点の一つである吸着サイト選択性を実験的に調べるためわれわれはBN薄膜上での原子状重水素の吸着挙動をX線吸収分光法と光刺激イオン脱離分光法を用いて行った。放射光の特性の一つである元素選択性により重水素吸着前後での電子状態変化を調べたところBサイトにおいて大きな変化が観測されたがNサイトではあまり大きな変化を示さなかった。また重水素イオンの脱離収率スペクトルはB吸収端において増加を示したが、N吸収端ではほとんど増加しなかった。これらの結果は原子状重水素がBN上でBサイトに選択的に吸着することを示しており、BN材料の吸着サイト選択性を実験的に検証した。また本研究の結果により光刺激イオン脱離分光法がX線による水素(あるいは重水素)の直接観測に有効であることを示した。

口頭

ポリキャピラリー軟X線レンズを用いたPEEM測定の高速化

平尾 法恵; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 成田 あゆみ

no journal, , 

放射光軟X線を用いた光電子顕微鏡(PEEM)は、ミクロンからナノメートル領域の電子構造,化学結合状態,分子配向などを観察できる有効な手法である。現在までにわれわれは、数分のオーダーでナノメートル領域の原子価状態観察が可能な軟X線PEEMシステムを開発してきた。しかし、薄膜成長過程などのダイナミクスのリアルタイム観察を行ううえでは、PEEM測定の高速化が重要である。そこで、集光装置としてエネルギーを変化させても焦点の位置が変化しないポリキャピラリーレンズを用い、軟X線放射光の集光を試み、PEEM観察の高速化に関する検討を行った。その結果、PEEM像観察領域の放射光強度が従来の55倍に増大し、10ミリ秒での1画像測定が可能となった。また、高速での化学結合状態観察の結果についても報告する。

口頭

酸素・窒素のK殻イオン化でDNA薄膜中に生じた不対電子とDNA変異の関係

岡 壽崇; 横谷 明徳; 藤井 健太郎

no journal, , 

放射線によるDNA変異の物理化学過程の解明のため、仔牛胸腺DNA薄膜及びピリミジン塩基薄膜のESR測定を行った。軟X線照射中にのみチミン・シトシンやDNA薄膜中に誘起されるsingletな短寿命の不対電子のESRシグナルの$textit{g}$値は2.000であり、自由電子の$textit{g}$値よりも低いことがわかった。ESRシグナルから求めたDNAの不対電子収量の酸素及び窒素のK殻吸収端近傍の軟X線エネルギー依存性を調べたところ$$pi^{*}$$$$sigma^{*}$$といった微細構造が確認でき、X線吸収微細構造(XANES)によく似た形であることがわかった。酸素・窒素のどちらにおいても、イオン化閾値以上のエネルギーにおいてESR強度がXANES強度よりも2倍程度大きかったことから、DNAは内殻イオン化によって生成した正孔に加えて、光電子の再捕獲の結果生じる励起状態の電子を同時に検出していると考えられた。DNAの短寿命シグナルを放射光リングのバンチモードを変えながら測定したところ、シグナル形状や不対電子収量はバンチモードに依存せず変化しなかったことから、この短寿命不対電子は少なくとも数百ns以上の寿命を持っていると推察された。シトシンでも同様にESR強度がXANES強度よりも2倍以上大きかったことから、シトシンがDNA変異過程において電子の一時的な貯蔵庫の役割を果たしており、DNAの不対電子の起源の1つになっていることが示唆された。

口頭

多素子SSDを用いたエネルギー分散型X線回折測定,2

片山 芳則; 齋藤 寛之; 金子 洋*

no journal, , 

大容量プレスを用いた高温高圧X線回折実験において、バックグラウンドを除去するために、シャープなスリットが使われる。エネルギー分散型X線回折実験は回折角を固定したまま回折パターンを一度に測定できるため効率的である。しかし、液体で広い波数範囲の測定を行うためには、角度を変えた測定を多数行う必要がある。われわれは、高温高圧下の液体金属水素合金の構造測定を効率的に行うことを目的に8mm角の4つの素子が直線状に並んだ多素子SSD(キャンベラ製)を用いたシステムを構築した。同じ中心を見込む4本のコリメーターを放射型に配置したものを受光側に用いた。実験はSPring-8のBL14B1ビームラインに設置したキュービック型マルチアンビルプレスで行った。このシステムで石英ガラスや高温高圧下の液体鉄水素合金の測定を行ったので、その結果を紹介する。

口頭

アルミニウム水素化物の軟X線発光・吸収分光

竹田 幸治

no journal, , 

軟X線発光分光と吸収分光を用いて、アルミニウム水素化物($$alpha$$-AlH$$_{3}$$)の電子状態の研究を行った。その結果、Al 3p部分状態密度を明らかにした。またAl金属と比較することにより、$$alpha$$-AlH$$_{3}$$の電子状態にはエネルギーギャップが形成されると同時に、Al 3p電子数が増加していることがわかった。この結果はバンド計算による定性的な説明ができることも確かめられた。以上のことから、$$alpha$$-AlH$$_{3}$$の水素原子とアルミニウム原子の結合は共有結合が重要であることを明らかにした。

口頭

液体Se$$_{2}$$Br$$_{2}$$における分子間配向解析

島倉 宏典; 川北 至信; 尾原 幸治*; 脇阪 有衣子*; 小原 真司*; 武田 信一*

no journal, , 

セレンと臭素の混合系は1:1組成で非常に融点が低くなる共晶型の相図を示す。これまで、室温での液体構造について中性子回折実験の結果から、セレンは純粋な液体セレンと同様2配位鎖状構造を有し、臭素がその終端に結合して、Br-Se-Se-Brの形で分子を形成していることがわかっている。また、液体Se$$_{2}$$Br$$_{2}$$における中性子準弾性散乱の温度変化により構造因子のファーストピークはfast modeとslow mode(それぞれ分子間配向に関する運動と分子の並進拡散運動に対応する運動を示す)という2種類のダイナミクスの情報により形成されていることが示唆された。今回われわれは液体Se$$_{2}$$Br$$_{2}$$について高エネルギーX線回折装置とreverse Monte Carlo構造モデリング法を用いて分子間配向の解析を行った。構造モデリング法から得られた部分構造因子により、構造因子の第一ピークに含まれる速い緩和はBr-Brにより形成されており、遅い緩和はSe-Seにより形成されていることがわかった。この結果はこれまで中性子準弾性散乱からわかってきたダイナミクスモデルと合致するものである。

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